敷地に新しい建物が建つ時、それは風景をつくることであり、周辺に対して拒絶するような姿ではなく、周りを受け入れるおおらかな建物がいいと思った。外に対して窓がないのは、外の世界を拒絶し、また、そこを通る人達は自分が拒絶されているような気分になる。抜かれた穴は住人だけでなく、外を通る人達に対しても優しく、受容されている気持ちになる。つまり周辺の建築に対しても、道行く人々に対しても、受け入れ、対話する心地いいものになっている。
建物の外周部は茶色、内周部が白色で塗られている。内側が白色で明るく見せているのは、通りを歩く人に対して、くり抜かれた穴からのぞく、その先への期待感を高めるため。抜かれた穴は内部に直接つながる窓ではなく、テラスを挟んでいる。そのことによって余白を生み、唐突感がなく空間の奥行きと、コミニティの奥行きを感じさせる。
余白を介して、住人と近隣とのやりとりが行われているように感じる。
集合住宅の持つ大きなテーマはコミニティの在り方で、建物でコミニティを操作できないかと思った。