居心地のいい空間とはなにかという永遠のテーマに対して、その答えは様々だが、1つの答えとして安心感や、包まれている感覚…つまり内抱感によるところがあると思う。
安心感、包まれている感覚…それは自分の領域、自分のホームを強く意識できる身体感覚。それは、内部空間でも外部空間でも同じことで、例えば、ソファーの背面が壁で、視界の中に何か大きな空間があると、壁に守られた場所からその先の何かを見ることで、居心地がよく、落ち着いた気分になる。
建物を3棟に分けることで、抜けのあるおだやかな奥行きが生まれた。
おだやかな奥行きとは、路地空間のこと。路地空間の道幅は広すぎても狭すぎてもよくない。広すぎると、人の持つ個人の領域とはなりにくいし、狭すぎると、圧迫感がある。程良い距離幅が個人の領域と認識され、その路地空間の先に抜けがあることで、安心感が生まれ、道を進めていくのが、楽しくなる。
通路には、手が触れられるくらいの背丈のトクサがあり、歩きながら、トクサの感触を楽しむことが出来る。懐かしい道草の感覚を思いだし、自分が建築にやさしく受容されている気分になる。