柳宗悦と民芸運動を共にした著名人

2017年02月28日

民藝運動は柳宗悦を中心に、陶芸家の濱田庄司や河井寛次郎、バーナード・リーチ、棟方志功、芹沢銈介、池田三四郎など、多くの著名人が参加しておこなわれました。いずれも民芸品を愛し、柳宗悦の志に賛同していた人々です。

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*「和楽」より抜粋

柳宗悦

東京帝国大学後に朝鮮半島へ行き、朝鮮の民衆雑器の多種多様な工藝に感銘を受け帰国後、 木喰像に心惹かれ日本各地を訪ね歩き旅するうちに地方色豊かな工芸品や工芸文化があることを知ります。
1926年に民藝運動を発足すると、当時主流だった華美な装飾を施した観賞用の作品を評価するのではなく、柳宗悦は「日々の生活に美の喜びが伴わなければ、 美はますます我々から遠のいてしまう」と説き、「用の美」を提唱。 各地の民藝品を蒐集しながら、1936年に民藝運動の同志達と日本民藝館を開設し、初代館長を務めました。

河井寛次郎

柳宗悦らと共に「日本民芸美術館設立趣意書」を発表し、「民藝運動」に深く関わった人物です。日本の陶芸家で陶芸の他にも彫刻、書、随筆など幅広い分野で様々な作品を残しています。
工業学校時代には一万種類以上の釉薬や東洋古陶磁の技法について研究を行い、 1920年に都市五条坂に「鐘渓窯」と名付けた工房と住居を構えました。東洋古陶磁の技法と作風の華やかな陶磁で、新人ながら名人と脚光を浴びています。
それ以降では、中国古陶磁から日本民窯のモチーフを取り入れ、「用の美」を意識したものを生み出していくようになりました。

濱田庄司

自身の作陶家としての生涯を「京都で道をみつけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」と語っています。 イギリス人陶芸家のバーナード・リーチと親交を深めた濱田は渡米し、イギリスのセント・アイヴスで約3年半の作陶生活の後、 その土地固有の伝統を作陶に活かすことを学びます。
帰国後は沖縄に滞在するとイギリスで学んだ作陶法を実践しながら、沖縄の伝統的な壺屋焼にならい作品をつくりあげ、 益子焼の産地である栃木県益子に移り住むと作陶に没頭し、益子焼が全国的にその名が広がるようになりました。

バーナード・リーチ

イギリス人陶芸家であり、画家、デザイナーとしても知られています。22歳で日本に初来日してからは、文芸雑誌『白樺』の同人と交友を深め、 リーチが開いていたエッチング教室に訪れた柳宗悦とは、芸術の思想について語り合う仲にまでなりました。 日本民藝館の設立にあたっても、積極的に柳らに助力しています。
リーチは1920年に濱田庄司と共にイギリスのセント・アイヴスに移ってから日本の伝統的な登り窯を開き、1922年にはリーチ工房を設立し生涯の拠点としました。 西洋陶器の伝統的な手法であるスリップウエアと、東洋陶磁の技術を融合させた作風が特徴的です。

棟方志功

日本人板画家であり、二十世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人です。 棟方は「板が持って生まれた性質を大事に扱い、木の魂というものを直に生み出さなければいけない」と考え、「板の声を聞く」という意味で、 板という文字を使う「板画」と称していました。
佐藤一英の詩「大和し美し」を読んで感動すると1936年、国画会に「大和し美し」(版画巻)を出品し展示を拒否されてしまいますが、 日本民藝館に買上げられ、そこから柳宗悦らとの交流が始まりました。棟方の作品は板画を中心に肉筆画や書など幅広く、板画は仏を題材にした作品が特に有名です。

芹沢銈介

日本の染色工芸家であり、20世紀の日本の代表的な染色工芸家として国外からも高く評価されています。 沖縄の染物・紅型に出会ったことをきっかけに型染めを中心とした染色の道を歩み始め、柳宗悦らの民藝運動に加わると、樺細工や花筵といった民藝の指導にも優れた能力を発揮していきました。
一般的な「型染」が絵師・彫師・染師といった職人の分業によって制作される一方、「型絵染(かたえぞめ)」は作品の全工程を芹沢銈介がひとりで手がけていました。 「型絵染」は芹沢が創始した技法で、人間国宝に認定された折にこの呼び名が案出されています。

池田三四郎

日本の木工家であり、柳宗悦に師事し民藝運動に参加。柳宗悦の「美の法門」と題した講演の内容に圧倒され、 後に柳宗悦から託された松本の木工業の復興を果たすため、家具造りの道を歩み始めます。
長野県の松本は大正時代の末、日本屈指の和家具の産地として栄えていましたが、太平洋戦争終戦直後の混乱により、和家具の生産は休止状態になってしまいます。 そこで池田は無名の名工を集め、これからの日本の暮らしに必要とされるであろう洋家具を作らせるなどして松本の家具つくりを再興させるために奔走。 その功績から、池田は松本民藝家具の創始者になっています。

このように民藝、そして民藝運動が与えた影響は、美術品への価値観、物つくりの仕様の変化などだけではなく、私たちの生活にも"用の美"という概念をもたらしてくれたことにもあるのかもしれません。

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