ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 【アンチテーゼ】

2009年07月17日

まず「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に関してネタバレする内容が書かれていますので、まだ見ていない方はお控え下さい。

2007年9月1日に公開された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」から1年9ヶ月の月日を経て、先月6月27日に公開された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」。
前作『序』がTVシリーズ第壱話から第六話までのストーリーをほぼ踏襲していたのに対し、本作ではTVシリーズや旧劇場版には登場しない新たな登場人物、エヴァンゲリオン、使徒などが登場、新たな謎も加わり、『破』独自のストーリーを展開していくと言う内容です。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

公開されてから一ヶ月、世間ではかなりの前評判との事でかなりの期待感に胸を膨らませながら見てきました。

感想は・・・自分としてはう~んと首を捻りたくなる内容。

映像や戦闘シーンだけを上げれば原作をはるかに超えるリニューアルで驚かされる部分ももちろんありました。
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でもアニメ版、漫画と一通り見てきた自分としては、新劇場版はヱヴァンゲリヲン本来の魅力が無くなっていたように思えました。(アニメ版の影響が強く絶対化していた分、先入観が強すぎたのかもしれませんが)

と言うのも、自分にとってのヱヴァンゲリヲンの魅力とは、先行されがちなキャラや戦闘シーン、未知数なストーリー展開よりも、各々の登場人物が心に抱えた不安や闇、他言できない過去を持ちながら過去を乗り越え、互いに葛藤し衝突し助け合い成長していく姿にストーリーとしても、キャラクターとしても人間味や深みを増し魅力を感じていました。
そういう人間同士の心理描写や自己の内的要因との向き合い、人間とは、幸せとは何かを探求している哲学的要素が緻密に描かれていたからこそ、戦闘シーン日常シーンでも感情移入が出来た部分が多かったのですが。

しかし新劇場版はどうだったのだろうか?
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映像美や戦闘シーンの演出に力を入れクオリティが高くなった反面、失われたシリアスな展開、登場人物同士の心理描写。
登場人物本来のキャラ設定が変わり、俗に言う萌え要素や露骨な露出シーンを増やしたことによってキャラクターに人間的厚みが無くなり、発するセリフにも重みがなく希薄化した感がある。
アニメ版では神がかっていた、会話の間、沈黙、静寂、セリフのタイミングが短い尺の中に無理矢理詰め込まれており、感情を彷彿させるにはストーリーや登場人物同士の歴史が浅すぎる感がある。
原作のストーリーを映画版に収めるには無理がある情報量。(初めて見る人は謎に満ちていたと思う。)

と、美少女アニメブーム?に沿ったキャラ変更や、全体を通してただアクションの激しい怪獣映画の様な万人受けする作品になっていた様に受け取れました。
まあ作者である庵野監督が、それがコンセプトだと言えば大成功なのでしょうが。
でも純粋にそれが万人に受けている実情あっての、会場の賑わいや世間での評価だったのだと思います。

そもそもこの映画、まだ完結しておらず公開未定の次回作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q Quickening」に続き後2,3上映する予定だそうなので、完結するまでは意味の無い議論かも知れませんね。
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一ヱヴァファンとして、次回作も心待ちにしたいと思います。

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