ミレイ展 ~ オフィーリアよ、永遠に。 ~

2008年09月27日

ジョン・エヴァレット・ミレイは、英国ヴィクトリア朝絵画の巨匠。「ラファエル前派兄弟団」を結成し、革新的芸術運動の中心的役割を担いました。代表作《オフィーリア》をはじめ、10代から晩年までの広い範囲の作品により作家の全容を紹介する、日本で初めての本格的な回顧展が渋谷のBunkamuraで開催されています。


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《オフィーリア》とは、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』に登場するヒロイン。ハムレットに捨てられ、誤って父を殺されたことで気がふれて自ら命を絶ちます。そんな悲劇的なヒロインを題材とした絵画は数多く制作されていますが、ミレイの《オフィーリア》は中でもとても印象的な作品ですよね。作品自体はそれほど大きなものではないのですが、深い緑と水面や人物の美しい表現にスッと引き込まれていくような、不思議な感覚に陥りました。
ミレイは忠実な自然描写を心がけており、その背景に描かれた草花にはそれぞれきちんとした意味が込められています。そうすることで、この場面の現実性を高めようとしたそうです。
ロンドン留学中の夏目漱石もこの作品に深い感銘を受けており、『草枕』にも《オフィーリア》についての記述があります。


展覧会は、作品のテーマや分野ごとに分けて展示され、とても見やすく構成されていました。
私の中で特に印象に残ったのは、絵画のタイトルのつけ方です。シンプルに、描かれている人物や場面の状況をタイトルにしたものもありますが、
『信じてほしい』
『しゃべってくれ!』
『何を考えているのか』
などといった情緒的なもの、
『月、まさにのぼりぬ、されどいまだ夜ならず-バイロンの詩より』
といった詩から引用したものなど、絵画の魅力をさらに引き出すようなタイトルが付けられているのです。

まだまだ開催中ですので、渋谷に寄った際にはぜひ!


【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【開催日時】8月30日(土)~10月26日(日)
【ウェブサイト】http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_08_jemillais.html

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