平安時代のゆるやかな時の流れを感じる「たけとり」
2018年12月18日今回施工された物件の名前は「たけとり」と命名されました!
オーナー様の御名前から「竹から生える」を連想し、そこからかぐや姫、竹取物語、平安時代...など言葉を繋げていき、最終的に「ひらがなの物件名がいい」という希望から「たけとり」という名前に決まりました。
和のテイストでひらがなという組み合わせだと、漢字よりもだいぶ雰囲気がやわらかくなりますね。平安時代のゆるやかな時の流れを思わせます。
外壁や板の色は、最初に北斎カラーから色を選び、組み合わせを試行錯誤しながら最終的に平安時代から所縁のある日本の伝統色を選び、雅な色合いにしました。
平安時代の色といえば十二単が浮かびますが、昔は袿の枚数を「単」で表していたので、2枚重ねると「二単」、7枚重ねると「七単」というような語彙もあったそうです。色を重ねて彩ることは昔から人々に好まれてきたことがわかります。
『竹取物語』といえば、『源氏物語』で「物語の出で来はじめの祖なる竹取の翁」とあるように日本最古の物語といわれています。現代では『かぐや姫』というタイトルで絵本やアニメ、映画など様々なかたちで表現されています。
ここで知っているようで知らない『竹取物語』のあらすじをご紹介します。
『竹取物語』
今となっては昔のこと。竹を取り様々な用途に使いながら暮らす翁(おきな)とその妻の嫗(おうな)がおりました。
ある日、翁が竹林で光り輝く竹を見つけます。不思議に思って割ってみると、中から三寸(約 9 cm)程のとても可愛らしい女の子が出てきました。
翁はこの子を連れ帰り、自分たちの子供として育てることにしました。
子供はどんどん大きくなり、3ヶ月ほどで成人に近い娘へと成長。髪を結い上げる儀式を手配して裳着をおこないました。
※裳着(もぎ)とは、平安時代から安土桃山時代にかけて、女子が成人したことを一族および他氏に対して示すことを目的をとして行われた通過儀礼のことです。
そして「なよ竹のかぐや姫」と名づけられ、皆から「かぐや姫」と呼ばれるようになりました。
かぐや姫の美しさと神秘さから、その姿を覗き見ようと竹取の翁の家の周りをうろつく者達が後を絶ちません。石作皇子、車(庫)持皇子、右大臣阿倍御主人、大納言大伴御行、中納言石上麻呂と呼ばれる5人の公達も夜昼問わず通い姫に求婚していたほど。
かぐや姫はそんな5人の公達に、結婚を承諾する条件として「私の言う物を持って来ることが出来た人にお仕えいたしましょう」と伝えます。
石作皇子には「仏の御石の鉢」、車持皇子には「蓬莱の玉の枝(根が銀、茎が金、実が真珠の木の枝)」、 右大臣阿倍御主人には「火鼠の裘(かわごろも、焼いても燃えない布)」、大納言大伴御行には「龍の首の珠」、 中納言石上麻呂には「燕の産んだ子安貝」を持って来させるというものでした。どれも話にしか聞かない珍しい宝ばかりで、手に入れるのは大変困難なものばかりです。
結局、かぐや姫が出した難題をこなした者は誰一人としていませんでした。
その事は帝にも伝わり、帝も姫に会おうとするのですが、ことごとく拒絶されてしまいます。一度だけ、帝が功を奏してかぐや姫を見る機会を得ましたが屋敷に連れ帰ることは叶いませんでした。
3年の月日が経った頃、かぐや姫は月を見て物思いに耽け、8月の満月が近づくにつれて激しく泣くようになりました。翁が涙の理由を問うと「私は本当は月の人間です。次の満月が来たら、迎えがきて月の都に帰らねばなりません。それが悲しいのです。」と。扇が帝にその事を伝えると、帝はかぐや姫を護るための軍勢を送ります。
そして満月の夜。大勢の兵士がかぐや姫の屋敷を護っていましたが、月の都の者達が雲に乗って下りてくると、その神々しい姿に戦う気力を失ってしまいます。
「さあ、かぐや姫。穢れた所(地上)にどうして長く居られるのでしょうか」と言うと、かぐや姫に天の羽衣を着せ、月へと帰ってしまったのでした。
...所々抜けておりますが、大筋の流れとしてはこのようなお話でした。
『竹取物語』はただ古い作り話というものではなく、その物語の中にさまざまな教えや説話などを含んでいる、とても奥が深い物語です。
また個人的としても「竹からうまれた女の子が月に帰ってしまう物語」というなんともあっさりとしたことしか覚えてなかったので、今回改めて読み直すいい機会となりました。
そして『竹取物語』といえば絵本などでは『かぐや姫』という名でその物語が語られています。そんな「かぐや姫」の「かぐや」の語源をご存知でしょうか?
「かぐや」とは、光り輝くという意味の「かがよう」という言葉からきており、「かがやく姫=かぐや姫」と名付けられたといわれています。物語では御室戸斎部(みむろどいんべ)の秋田に「なよ竹のかぐや姫」と名付けられたとあります。
「なよ竹」とは「細くてしなやかな竹」という意味があります。なので「細くてしなやかな竹のように輝くような美しい姫」ということになります。(諸説あり)
ちなみに「かがよう」の光り輝く(光が明滅する様子)という言葉はオノマトペで「ちかちか/ちらちら/きらきら」というそうです。「かがよう」という言葉は聞き馴染みがありませんが、オノマトペになると同じ意味合いでも随分と馴染みのある言葉になりますね。
お近くにお越しの際はぜひ「たけとり」の雅な彩りをご覧になってみてください。
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