【やちよ】やちよ命名

2018年08月02日

今回は、今月施工された長屋建て住宅の「やちよ」の命名についてです。

もともと「八千代荘」という物件がありまして、今回はそちらを建て直しさせていただいた物件になります。
八千代荘を建て直したから、という意味だけではなくそもそも「八千代(やちよ)」には「八千年。また、きわめて多くの年代。」という意味があります。また、「やちよ」という言葉には有名な歌があります。


『わが君は千代(ちよ)にやちよに細(さざ)れ石(いし)のいはほとなりて苔(こけ)のむすまで』

(訳:わが君は千年も八千年も長生きしてください。小石が大きな岩となって苔が生えるまでも。)

「君が代」というとまず日本の国歌が思い浮かびますが、もとは古今和歌集に収録されている短歌の1つであると言われています。(※諸説あります。)また、漢字で「八」と書くと下の方が広がる事から「末広がり」を意味し、日本では幸運とされています。「八千代(やちよ)」には、"末永く幸運が続きますように"という意味が込められていると解釈することもできるのではないでしょうか。

「八千代荘」は漢字でしたが、今回は可愛らしくも和の雰囲気を残しつつ、ひらがなで「やちよ」となりました。「八千代荘」から「やちよ」へ...これからも古き良き家が末永く続いていくように。

今回「やちよ」のロゴは、日本人板画家であり、二十世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人「棟方志功」のひらがなのデザインを参考にさせていただきました。


やちよ最終決定0628-3.jpg


ポストに貼られているやちよのロゴの上下左右には落款を置いています。
ロゴの右上の落款は草書で「新八千代荘」と書かれています。上記でお話した通り、もともと「八千代荘」という物件が建っていましたので名前の名残を落款で残りました。


やちよ最終決定0628-1.jpg


左下の落款には「文」という文字が書かれています。こちらはオーナー様が文房具屋さんを経営されているので「文」という文字を使いたいという要望で選ばせていただきました。


やちよ最終決定0628-2.jpg


落款とはかき上げた書画に筆者が自筆で署名しまたは雅号の印を押すものです。簡単に言ってしまえば、完成印です。でしが落款があるのとないのとでは、与える印象も違います。なので落款ひとつにも工夫を凝らしました。

そして号室の数字の下にあるロゴもオリジナルです。
「Kyomachiya modoki」と書いてあります。「京町屋 もどき」ですね、「もどき」というと悪いものをいう印象があるかもしれませんが、そうではありません。「本物と張り合うくらいのもの、またはそれに匹敵するもの」という意味もありますので、今回はそちらの意味合いが込められています。


やちよ最終決定0628-4.jpg


ポストのロゴ全体でひとつの作品になるような仕上がりになりました。


やちよポスト01.jpg やちよ外観写真.JPG

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