京町屋のこだわり「下地窓」

2018年06月08日

今回は階段を上がって左手にある、くるみの床板の洋室のプチロフトについてご紹介します。

まず階段を上がり振り向くと、下地窓(したじまど)とご対面します。

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下地窓の壁の色は実は部屋ごとに変える工夫をしております。1・3・5の奇数号室の壁は「老緑色」、2・4の偶数号室は「木賊色」となっています。下地窓のデザインは統一されていますが、どちらの色も空間になじみやすい色合いです!

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洋室に入るとき床を見てみると、廊下と洋室の床の板の色と板目が違うことに気づきます。廊下はサクラの板を、洋室はくるみの板を使用しているからです。ちなみに2階の奥の洋室の床板はオークを使用しています。壁の色だけではなく、床の板の違いもお楽しみください。

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洋室に入り、先程の下地窓の裏側(内側)を見てみると壁の色は「海松色」となっています。こちらの色は全室統一されています。下地窓の裏側には和風デザインの透光性アクリル板「ワーロン」がはめられているので触ってみると和紙の感触がわかります。

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プチロフトに上がるのに梯子がこのあと取り付けられます。天井にライトもついているので狭くて暗い、ということはありません。早く上がってみたいですね!


「やちよ」は京町屋の暮らしがコンセプトのひとつになっています。「下地窓」も、京町屋の建物のこだわりのひとつです。

窓の語源は「間戸」、つまり戸のことです。そもそも開放的な日本家屋に窓の概念はなかったということです。「下地窓」が登場するのは田舎家の塗りさし窓に風情を覚えた千利休が茶室に取りいれたのが始まりと伝えられています。

壁を塗り残すことで開口部を作る下地窓は、「塗りさし窓」「塗り残し窓」とも呼ばれています。つまり、もともと壁であるべき場所を塗り残して下は、本来の木舞竹(こまいたけ)のほか、皮付きの葭を一本から四本ほどに不揃いに組み、ところどころに藤蔓を絡ませるのが一般的な意匠です。窓の四隅は丸く塗り廻すことが多いのですが、直角に塗り込められたものもあります。窓部分には掛障子や、付鴨居と付敷居に引障子を組み合わせます。

下地窓は位置によってさまざまな呼び名があります。
茶室の点前座向こう、つまり風炉先の壁面に開けるものが「風炉先窓」で、二つの窓をずらして色紙散らしのように上下に配置したものが「色紙(しきし)窓」。床の間の脇壁に開けるものを「墨蹟(ぼくせき)窓」と呼び習わします。この「墨蹟窓」に花入れを掛けられるようにしたものが「花明窓(はなあかりまど)」。創案は古田織部だと伝えられています。(参考引用文献:『京の町屋案内 暮らしの意匠の美』)


内覧の際には、下地窓をじっくりご覧になってみてください。

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