「蕾傳」露地をつくる茶の湯の要素

2017年05月12日

蕾傳はコンセプトに合わせてさまざまな工夫がされています。
あまり見かけないものや、見慣れたものでもモチーフや何のためにあるものなのかを知っていると、いつもとは違ったものに見えてきます。

・犬矢来(いぬやらい)

蕾傳の表通りに設置されているものを「犬矢来(いぬやらい)」と呼びます。京都の町家に多く見られます。
ゆるやかな弧を描く垣根や直線のスタイルのものもあり、語源は犬や猫などの小動物が軒下によって尿をひっかけないようにするために置いたことからだと言われています。

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柱や板塀の地中深くの部分は水が飛び散ることで腐食が早く進んでしますため、腐食を少しでも防ごうと考えて作られたのが「犬矢来」です。
本来「矢来(やらい)」とは竹や丸太を粗く組み合わせた柵や垣としたもののことを言い、矢来は「遣らひ」の意味があり、「入るのを防ぐ」という意味合いを持つ言葉です。

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・三光灯籠

桂離宮の園路や池の周りには24基のさまざま灯籠が置かれており、これらの灯篭を鑑賞するのも桂離宮の楽しみのひとつです。
灯籠は元々、神社や仏閣の灯明を供えるための器具でした。その灯籠に風情を添えて照明としての機能以外のものを最初に見出したのは、「茶仙・千利休」です。茶室への向かう露地に導入したのが最初であると言われています。

桂離宮にある24基の灯籠の中でもめずらしい形なのが「三光灯籠」です。火袋に丸形、三日月形、四角形の三つの火口が開いています。それぞれ太陽、月、星の三つになぞらえていることから三光灯籠と名付けられました。

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*「桂離宮」株式会社新建築社・吉田信之発行より抜粋

蕾傳の敷地入り口は茶室へ赴く客人を出迎える露地を彷彿とさせる造りとなっており、もちろんそこにも灯篭を思わせるライトが置かれています。灯籠のライトは敷地入り口の他にもウッドデッキに置かれている部屋もあります。
露地へのこだわりを「渡り六分景四分」と語った千利休の景観の趣きの役割をもった灯籠は、人にやわらかな光と共に安らぎを与えてくれます。

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・関守石

関守石とは、茶庭や露地の飛び石や延段の岐路に置かれる石で、止め石ともいいます。茶道の作法において、この石が置かれた場合、「これより中に入ることは遠慮されたし」の意味があります。ここから先への出入りを遠慮してもらうための印として関守の役を持たせたため「関守石」と呼ばれます。

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関守石は、丸い石に黒い棕櫚縄を十文字に掛けたものが使用されます。蕾傳の敷地内の各お部屋の前にも置くことでより露地の雰囲気を感じられます。

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