文字に溢れる『祈りの痕跡』展

2008年08月01日

東京ミッドタウン・ガーデン内にある21_21 DESIGN SIGHTは、デザインの視点から様々な発見や提案を行っていく場所です。
毎回第一線で活躍されている方がディレクションし、魅力的な企画展を開催していますが、今回は広告等のADの他、地球文字探検家でもある浅葉克己さんのディレクションによる『祈りの痕跡』展が開催されています。

本展は、「誰が最初に痕をつけたのか」という問いを出発点として、多彩な参加作家のもとその痕跡を集めた文字の展覧会です。

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会場は、地上1階地下1階建で特徴的なフォルムをした安藤忠雄さん設計の建築。一見小さく見えますが、地下に下りてみるといくつかに分かれた通路と広い空間が広がっています。

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すべての作品については語れないので、印象に残ったいくつかの作品をご紹介します。
まず、神前弘さんの『おじいちゃんの封筒』。棟梁として活躍されていた神前さんが15年間身近な紙を用いて、毎日手作りされた封筒が約七百点展示されています。文字は書かれていないのですが、逆にその気配が大きく感じられ、なんともいえない不思議な感覚になります。身近な紙に残る生活の痕跡と封筒というモチーフが見事にマッチした作品で、個人的に今回の作品のなかで一番感動しました。

李禹煥さんの絵画『線より』は、ゆっくりと筆を動かして描かれたまっすぐの線が、だんだんとかすれ消えていく印象的な作品です。ごくシンプルな線のみの描写が一見文字のようにも見えます。力強さと繊細さを併せ持った作品だと感じました。

第二室ギャラリーの壁には『浅葉克己日記』が展示されています。
ノートの左側には写真や広告作品、右側には日記がびっしりと書かれており、私的にとても興味深かったです。ついついじっくりと読みふけってしまいました。


『文字』は誰もが日常的に使っています。ですが、文字について深く考えることはあまりないのではないでしょうか。今回の展示は、文字について、そして深くは今までの生活についても考えてみるきっかけになるのではと思いました。
9月23日まで開催中ですので、ぜひぜひ足をお運びになってはいかがでしょうか?

【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【開催日時】7月19日(土)~9月23日(火)
【休館日】火曜日
【ウェブサイト】
http://www.2121designsight.jp/schedule/inori/outline.html

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