「蕾傳」「はんなり」のそれぞれの物件のコンセプトのひとつになっているのが焼物です。
「蕾傳」は織部焼、「はんなり」では志野焼の焼物の特徴や釉薬の色などを物件のカラーリングに使用しています。そんな織部焼と志野焼は、焼物の中でも「美濃焼」という焼物の中に分類されています。
美濃焼とは、岐阜県土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市を主として産地とする陶磁器の総称です。美濃焼が主に生産される岐阜県東濃地域は、日本最大の陶磁器生産拠点であり、日本の陶磁器生産量の約半分を占めています。
美濃焼の種類は多岐に渡り、伝統的工芸品に指定されているものは15種類にものぼり、特に代表的なのが瀬戸黒・黄瀬戸・志野・織部の4種類です。
・瀬戸黒(せとぐろ)
鉄釉を掛け、高火度で焼成している途中に窯から一気に引き出し、急速冷凍させる技法を「引き出し黒」といい、そうすることにより漆黒が得られることから名付けられた美濃の焼物です。
形の特徴としては端正な円筒型から、口縁の形に動きがあるものがあり、口縁部のゆるやかな起伏は「山道」(やまみち)、もしくは「五山」とも呼ばれています。
・黄瀬戸(きせと)
中国華南で生産された三彩陶器である交趾焼の影響を受けて生まれたとされています。黄瀬戸の釉調として好まれていた「油揚手(あぶらげ)」という釉薬を使うことにより、表面に艶がなく、まるで豆腐屋の油揚げのような質感と色合いの焼物が生み出されました。
黄瀬戸は光沢の強い灰釉である古瀬戸系黄瀬戸と、しっとりと潤いのある油揚げ肌を呈する釉中に黄土を混ぜた黄瀬戸とに大別されます。
・志野焼(しのやき)
*「志野と織部 All of Shino & Oribe」より抜粋
長石釉を掛けた白い焼物で、白い釉薬の厚みと柔らかな質感にピンボールが現われることで時に緋色と言われるほのかな赤みを帯び、釉薬の掛かり方もムラがあることが魅力だと言われています。
日本で初めて表現したその白さを生かし、志野は、無地志野、絵志野、鼠志野など、技法を凝らした多彩な装飾を展開し、その豊かな造形と相まって桃山時代の茶の湯の世界で一世を風靡しました。
・織部焼(おりべやき)
*「志野と織部 All of Shino & Oribe」より抜粋
桃山時代から江戸にまたがる慶長年間(1596~1615)から寛永時代(1624~44)に、美濃で焼かれた加飾陶器で、「織部釉」と言えば緑色の釉薬を指すほどに、織部の焼物に使われていることが特徴です。
織部の多彩な装飾は志野に劣らず、青織部、黒織部、総織部など造形と装飾の両面において、斬新な創造性をみせました。また、織部の名は、戦国時代の武将にして茶人、古田織部に由来すると言われています。
それぞれの焼物はここからさらに色や形によって種類が分けられ、ひとつひとつこだわりのある焼物がつくられました。
次回は『蕾傳』のコンセプトのひとつになっている「織部焼」について詳しくご紹介します。
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投稿者:よしはら | 日時:2017年5月16日 10:10
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