日本の文学史における名作の一つ『源氏物語』。
今年は、その源氏物語が歴史上に登場してからちょうど1000年の節目にあたり、横浜美術館にて特別展が開催されています。
見に行った日が祝日だったためか、美術館の前は開館前にもかかわらず行列ができていました。
もう少し早く来ればよかったと後悔しつつ、気を取り直して館内へ。
横浜美術館は広々とした吹き抜けのつくりが特徴的で、自然光の入るガラス張りの天井は開放感たっぷり。ゆったりと美術品を鑑賞できる空間が広がっています。
展示場はテーマごとに別れており、まず第一展示室では、源氏物語成立の背景にある、王朝人の美意識や信仰の様子を、鎌倉から室町時代にかけての代表的な伝本をもとに紹介しています。
紙に墨で書かれた文字はすでに数百年もの時が経っているのにもかかわらず、どれも美しいものばかり。
当時の人々の筆跡が残る写本は、見ていてまったく飽きません。
文字の抑揚や余白の取り方からは、如実に日本人の美意識が見て取れます。
第二章では、源氏物語を描いた絵画「源氏絵」が物語とともに幅広い階層の人々に受け入れられていったようすを、中世から近世初期の屏風や色紙絵・工芸品などから紹介しています。
源氏物語がお話としてだけでなく、絵画や美術品の題材としてもとても人気のあったことがわかります。
最後に第三章では、明治以降から現代にいたるまで多くの画家達が取り組んだ源氏絵と、今なお身近な文学作品として親しまれている、現代の「源氏物語」の出版物を紹介しています。
大和和紀さんの「あさきゆめみし」など、とても有名ですよね!こちらの漫画も展示してありました。
また、外国語訳も盛んに行われており、現在では英語・フランス語・ロシア語・中国語など十以上の言語に翻訳されているそうです。
展示室の壁面には、日本語と外国後で書かれた物語の一部がプリントされており、源氏物語の海外への広がりが見て取れます。
本展を見に行ったのは、単純に源氏物語の写本が見たかったというのもありますが、展示方法等を参考にしたいと思ったからなんです。
というのも私事で恐縮ですが、大学での卒業制作展の展示計画を練らねばならなかったのです。
作品を展示するには、どのような方法が良いか、土台の素材・色、照明の仕方・照度などとても参考になります。
また、キャプション(作品に付いている説明や詳細のこと)は、どんな書体がどの大きさで使われているのか…大きすぎても作品の邪魔になるだけですし、逆に小さすぎると読みにくいということになりとても重要な要素の一つです。
今回の展示では、土台に和紙のような素材が使われており、レイアウトの仕方も嫌味がなくすっきりと文字を見せていて、展示品と上手く調和していました。
展示品だけを見るのではなく、細部にまで目を凝らして展覧会を楽しむのもおすすめです!
【会場】横浜美術館
【開催日時】8月30日(土)~11月3日(月)
【ウェブサイト】http://genji1000.jp/outline.html
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投稿者:なかがわ | 日時:2008年10月23日 15:26
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