ブルーノ・ムナーリはイタリアはミラノ生まれのアーティストです。
絵本やグラフィックアート、プロダクトデザイン、彫刻、評論、建築などなど…多岐にわたって活躍されていました。
なかでも、こどもたちに対する造形教育の分野ではおおきな功績を残しています。
この展覧会では、こどもの城造形事業部と日本ブルーノ・ムナーリ教会のコレクションを中心に、ムナーリ氏の仕事を6つのテーマで展示するとともに、ムナーリ氏の造形世界を体験できるワークショップの実施、さらに遊具や絵本の一部を直接手にとって触れることができるコーナーも設けられていました。
会場に入ると、まず出迎えてくれたのが、数十センチの間隔で通路に吊るされている布。
布にはイラストが描かれており、その先の布のイラストがうっすらと見えます。
それは「きりのなかのサーカス」という作品から作られたものでした。
本では、霧の質感を表すのに半透明のトレーシングペーパーを用い、目的地の喧騒が次第に見えてくる様子を巧みに表現しています。
その先にはグラフィックデザインと、数々の発明品が壁に天井にと吊るされ、奥には建築家そしてプロダクトデザイナーとしての顔が見れる作品が並べられています。
著述家としての印象が強かったので、こんな一面も持ち合わせたのか、と少々驚いてしまいました。
本当に多才な方だったのですね。
さらに、ショーウィンドーには「こんなにあるんですか!?」とばかりに本がズラリと並んでいます。
手にとって見れないのが残念!!(数冊販売されていましたが、かなり高価でした…)
どれもこれも味のあるイラストで、子供もお母さんも喜んで手に取りそうなものばかり。
ショーウィンドーの最後には、様々な形をしたフォークがあり、それらは「いかが?」や「どうぞ」といった言葉をフォークの先で表現していました。
今にもフォークが動いてしゃべりそうな、そんな気さえしました。
出入り口の前には、これまでのワークショップで、こどもたちが実際につくった作品が展示され、さらに実際に手にとってみれるコーナーが設置されています。
子供だけじゃなく、大学生ぐらいの女の子たちも楽しそうに遊んでいたのが印象的でした。
きっとその分野の勉強をされているのではないでしょうか。
ムナーリは物の原理や要素を視覚化し、見る人にそれを伝える作品を作る人でした。
それは遊具や絵本、ワークショップでの子供たちの体験から生まれた作品をみるとわかります。
言葉を学ぶのと同じように視覚言語としての造形美術を学ぶことは重要であると考えていたムナーリは、ご本人も子供のような人だったんじゃないかなと、ふと思ってしまいました。
【会場】川崎市市民ミュージアム
【開催日時】7月12日(土)~8月31日(日)
【ウェブサイト】http://www.kawasaki-museum.jp/magazine/blog/exv/cat34/
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投稿者:いけだ | 日時:2008年8月22日 11:58
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