「クラインミーア」のコンセプトのひとつである。色彩の対比による調和の美は、外部空間で行なわれ、さらに内部空間へと連続されている。最小限のデザインによる機能性、合理性を追求した結果、内部空間において、その主なデザインは1枚の壁面になされた。「クラインミーア」は12戸からなる集合住宅であるが、その部屋にある壁面は、それぞれ違う絵になっており、1部屋ごとに異なる表情をもっている。共通していることは、背景となる黒い壁が余白となり、その壁面の絵を生かしていることである。今は個性の時代、なにか他人とは違う価値を求める中で、ここに住む人々は、黒い壁と額装によって導かれた1枚の絵に、自らのアイデンティティー、さらには自らの原風景までも重ねるのかもしれないと考えた。